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お知らせ

令和 3 年(2021 年) 日本補聴器工業会 年頭所感

更新日:2021.01.07

コロナ禍で進んだ難聴社会化と補聴器普及の課題

 皆様、新年明けましておめでとうございます。令和 3 年(2021 年)を無事に迎えることが出来、何よりのこととお喜び申し上げると共に、平素私ども補聴器業界に対して温かいご理解とご支援を頂戴している皆様方に、改めまして心よりお礼を申し上げます。

 昨年は何と申しましても新型コロナウイルスの発生と感染拡大への対応に世界中が苦しめられた年でした。感染による生命や健康被害への危険のみではなく、感染拡大防止のために、人々の生活様式を否応なく変えることになり、ありとあらゆる産業活動をほぼ阻害し、その結果、経済のしくみを破壊してしまいました。今年以降は、ワクチンの普及、集団免疫の確保等へ向かい、一定の社会活動の回復が見込めるものと思うとともに、そのことを切に願うところです。とはいうものの、コロナ禍がもたらした様々な生活様式の変化がすべて元通りになるとは思えず、例えば、リモートで成立するコミュニケーションの積極的普及や、様々なサービスの遠隔利用の普及等は、もともとその方向にあった社会の変化が、コロナ禍によって強制的にそのスピードを上げたものと思われ、そのような新しい生活様式が恒久的に定着することも見えてきています。

 コロナ禍における聞こえの話題として、感染防止対策となるマスクの高い装着率とソーシャルディスタンスで人との距離が遠くなったこと、コミュニケーションの場では透明なアクリル板やビニールの膜を介した会話となり、その結果として、相手の声の聞こえにくさが増したことが社会現象として取り上げられました。これは発声した声が相手側の耳に到達する前に、その大きさや特性を劣化させてしまうものであり、補聴器を装着した難聴者のみならず、健聴な人の聞こえにも及ぶ不便さとなりました。とりわけ、もともと聞こえにくさを自覚していながらも補聴器の使用に至っていなかった多くの加齢性難聴の方々は、唐突に悪化した聞こえにくさにお困りになったことと思います。これは結果的に、超高齢社会の難聴社会化が進行してしまった現象と言えます。補聴器をお使いの方であれば、補聴器店できこえを調整することで対応可能ですが、補聴器の使用に至っていなかった多くの加齢性難聴の方々には、この機に是非とも補聴器のご使用を始めていただきたいと願うとともに、やはり現状で低いままの我が国の補聴器の普及率を高めることが、あらためて難聴社会の重要課題であると痛感するものです。

 補聴器の普及率向上は業界の重要課題として取組まれてきていて、2019 年末には難聴対策推進議員連盟の提言「Japan Hearing Vision」にも組み込まれ、2020年の当初はその具体的実践へ向けて胸躍らせてスタートを切ったところですが、直後からの新型コロナウイルス感染拡大によって、その動きは足踏み状態になりました。同様に、世界保健機関(WHO)から加盟国に向けた、耳と聴覚のケアを国の健康計画に組み込み、聞こえの健康を公衆衛生のケアの優先事項にするためのガイダンス「World Report on Hearing」の発行も、予定より遅れている状況です。

 昨年の年頭所感では、健康で長生きな「超高齢社会」は人類の理想であり、そこで大事なのは、「社会を高齢者が暮らしやすい構造に変えること」であると示させていただきました。コロナ禍で、より生命の危険にさらされたのは言うまでもなく高齢者でした。若者に対して、高齢者を守るために行動の自粛が強く訴えられた状況を目にした時は、高齢者に対して、より配慮した社会づくり・文化への加速も期待できましたが、長引くコロナ禍においては、行動自粛と経済活性の関係問題も露呈し、その難しさも実感したものです。

 他方、コロナ禍では、前述のように人々の生活様式が大きく変えられると同時に、会話コミュニケーションの様相にも大きな影響がもたらされ、会話の聞こえにくさの高まりで、社会全体で聞こえへの意識が高まる結果にもなりました。昨年の当工業会の月別補聴器出荷台数は、緊急事態宣言下直後の 5 月には前年比5 割台に落ちましたが解除後の 6 月には前年比 9 割に、そして 10 月以降は前年比プラスに回復しました。年間を通じては前年比 9 割程度になる見込みです。このようにコロナ禍は依然として長引いている中でも、月別の補聴器出荷量は比較的早い回復になりました。感染のリスクが収まらない中においても、補聴器をお求めになる難聴の方々の切実さを改めて認識するとともに、私たちが果たすべき役割の重要性を益々実感した次第です。

我が国の経済に関する将来展望・分析の例においては、超高齢社会における高齢者人口率の上昇で、医療需要の増加そして、医薬品・医療機器の需要増加が確実視され、その該当企業ランキング上位に補聴器メーカーを挙げている報告がありました。当工業会と致しましては、総人口は減少傾向でも、高齢者人口は 2040年までは増加し続ける我が国の状況に即して、難聴の方々への貢献、高齢社会への貢献をより高める活動を視野に、より良い補聴器の開発とその供給に努めてまいります。そのためには関連の諸団体の皆様方との関係をより密にして、連携を深めることが重要でございますので、皆様どうぞよろしくお願い申し上げます。

 新しい年、令和 3 年(2021 年)は、新型コロナウイルスのワクチン投与・普及が大きな課題になりますが、ウィズコロナであっても、社会活動の正常化が図られ、皆様にとって飛躍の年となることを祈念申し上げまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。

日本補聴器工業会 加盟の補聴器メーカー

  • リオン株式会社
  • パナソニック補聴器株式会社
  • オーティコン株式会社
  • ジーエヌリサウンドジャパン株式会社
  • コルチトーン補聴器株式会社
  • シバントス株式会社
  • ワイデックス株式会社
  • スターキージャパン株式会社
  • ニュージャパンヒヤリングエイド株式会社
  • フォナック・ジャパン株式会社
  • マキチエ
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